アパラギ -「美」を表す方言 2-
宮古で「美人」のことを「アパラギ」という。
「ァアッパラギ!」と書いた方が実際の発音に近いだろうか。
「アパラギ」、これの謎解き…の目途を立てるまでは、実は簡単だった。
- 宮古方言の特徴である、標準語の「ハ行」の音に「パ行 [p]」が対応する。
- 琉球方言ほぼ全域共通の特徴である「エ [e]」の段の音が「イ [i]」の段に上がる。
このふたつの特徴から、ひとつ思い当たった古語の形容詞がある。
それは、「あはれ」。
形容詞「あはれ」+ものの様子を表す接尾語「げ」で、「あはれげ(憐れ気)」。
ほら、「あぱらぎ」と音が繋がる。
高校時代の国語・古文の授業で習った記憶では確か「趣のある」「風情のある」といったような意味だった。人というより、物や風景や季節の事柄や…といったものに使われていたような気がする。
それで、それが「美人」の意味になった理由は…想像がつかないので古語辞典の力を借りてみよう。
- あはれ
- <文芸>「をかし」とともに、平安時代における文学の基本的な美的理念。深いしみじみとした感動・情趣をいう。(後略)
- あはれげなり【憐れげなり】
- [形容動詞・ナリ](1)しみじみとしたようすだ。(2)いとおしいようだ。いじらしいようすだ。(例文は略)
おお、どうにかそれらしきものがありました。「あはれげなり」の(2)の意味に注目。
「いとおしい」・「いじらしい」…男心をくすぐっていることを表すようなキーワードですな。
な~るほど、それで「美人」か。男には「アパラギ」ってあまり言わないものね。
「ゾーギ」だったかな、男の美形には。(←あ、3つめの「美」を表す方言、発見!)
そういえば、宮古方言でも形容詞の後に「~ギナリ」という言い方がある。例えば、「ズミ ギナリ オジィ 」で「カッコイイ オジィ」の意味になる。古語の「~げ・なる」と一緒か。1000年以上前の言葉と同じ言い回しが今も生きているとは、何とも不思議な感覚。
「アパラギ」=「あはれ げ」。よし、これで自分では満足。
ここまできてまたひとつ気がついた。
先日の「カギ」。これも語尾は「ギ」である…。
もしかして、「カギ」は、「カ・ギ」なのだろうか。「きよら」の3音が何らかの過程を経て「カ」の1音に凝縮され「か」となった…としたなら、「清らかなようすである状態」というニュアンスの解釈ができないか。
…謎を解いているのか、さらに混乱させているのか、自分でも分からなくなってきた。
あがい~、せっかく「アパラギ」でスッキリしたというのに!
この記事へのコメント
これまで半信半疑でしたが、重ちゃんのご親族のところにはその証拠となりそうな品が残っているのね…。
その品が、刀と巻物とはまた凄い!! 私も一度見てみたいです。
そう言えば、昔の沖縄や宮古の権力者たちが倭寇だったという説もあるんですよ!
特に琉球の王族は、家紋の「三つ巴」が、倭寇の信仰していた八幡神社と同じ文様なので、三山を統一したのは実は倭寇ではないかと。
この説にも驚きましたが、先祖を辿るなら…どうせなら平安貴族の方が良いな、私は。
それにしても、地球の反対側のインディオの言葉にも、同じ音があるとは驚きです。
「アパラギ」ってあります。
意味は「ましてや~だ」、「その上~だ」ですが
「アパラギ チャンティック」となれば、「さらに美人だ!」となります。
もし昔昔その昔の南方から来たひとが言っていたのを、
なんとなく理解しちゃったら、語源になる可能性ありですよねぇ~。
「ちゃんぷる」→「まぜる」もあることだし。
とにかく、沖縄(宮古)弁にけっこうインドネシア語と同じ音を持つ
単語って結構ありますよね。
私のご先祖様も、元々は平家のお侍だったらしく
代々そのご先祖のお墓を、守っている家が有るが
1000年以上も前の刀もちゃんと残ってますし、巻物?そんな感じの
書物も有る訳です、全て漢字なので私には解読不能だったが
源平の戦についての事が書いて有るらしいよ~本当かな?
市の博物館で発見した書物に書かれてたのだが
私の名字も O間ですが、元々は O馬の字を使ってたみたいだし
案外、馬に乗ったお侍さんと言うのも本当かもな~小さい宮古島だから
昔の言葉が残っているのかも知れないね。
あっ!話は飛ぶが南米インディオ達は、美しい、綺麗を表す言葉に
「チュラ」「チラ」を使うらしい