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時間帯

カテゴリ : 名詞

ほい早速。

とりあえず、先月(2009年1月)の方言勉強会の復習です。ただし、ものすごく局地的な。
今月の勉強会はもう今週末なんですけれど、今頃やります。なんでかよ、まず。

ずっと知りたかったことを習ったんです。
共通語だと、「明け方―朝―昼―夕方―夜(晩)―夜中」となる、一日の時間帯を区分する言葉。
先月、宮古方言での時間帯の表現の仕方を、習いました。


シャーカからユナカがみ(日の出前から夜中まで)

まずは、資料をもとに図を描いてみました。 じゃじゃーんっ!

シャーカ>ストゥムティ>サナカ>ピスマ>ピスマザナカ>ユサラビ>ユナイ>ユナカ
① シャーカ [ʃaːka]
未明。うっすら明るくなる頃。
② ストモティ [s̩tomoti]
夜が明けて明るくなってから(午前9時頃まで)。
③ サナカ [sanaka]
小中(さなか)。朝と正午の中間。
④ ピスマ [pɨsma]
昼間。=正午。
⑤ ピスマ ザナカ [pɨs̩ma zanaka]
昼間小中。正午と夕方との中間。
⑥ ユサラビ [jusarabi]
夕さらへ(「夕方」を表す古語)。夕方。日没前後。
⑦ ユナイ [junai]
夜なへ。日が落ちてからあと。(午後7時~9時頃)
⑧ ヨナカ [jonaka]
夜半。⑧「シャーカ」の前まで。
(その他)
大ざっぱに、明るい時間帯と暗い時間帯を分けて「昼(ピスマ)」「夜(ヨル)」という言い方もします。「スカマ」というのは「仕事」という意味の方言ですが、伊良部の方では「昼間」の意味でも使っていたとか。

この図、なかなか書けんかった。どう表現したらわかりやすくなるだろうかと、形で悩みました。縦長にしようか横長にしようか円形にしようか。いやそもそも私の色彩センスに問題があったり、画像ソフトを使いこなせていなかったりという、根本的な問題もあるのですが。
結局、二年ほど前に掲載して大ヒット(?)しました「アガイタンディ」の一覧表に準じて縦長にしました。見づらい?


それぞれの言葉について述べてみる

へい。それではうんちくタイムを始めます。なるべく短めに。

①の「シャーカ」は「清(さや)か」か「早やか」だと推測していましたが、違うらしいです。咫明(し-あか)。漢字字典によると、咫(し)の字は「わずかに」の意味があるらしい。

②「ストゥムティ」は、は、「朝」を意味する古語「つとめて」として清少納言の「枕草子」に登場しますね。

冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず、霜のいとしろきも…

1000年ちょっと前ぐらいですかね、「枕草子」の成立年代は。平安時代にも使われていた優雅な言葉でございます、おほほ。
そういえば①「シャーカ」と一緒に「ストゥムティ シャーカ」という言い方があったような。夜明けの朝…?

③「サナカ」。そういえば現代語でも「さなか」って言葉、ありますよね。漢字変換すると「最中」、真っ最中! あはー、そういうことかー(なにがよ)。朝と昼の真ん中。
個人的には「サナカ チョウキ」として聞いたことがある。今で言う「10時のおやつ」(本来、農作業の合間とかの)。私、食べ物が関わるとすぐ覚える。だって、「チョウキだよー」っていわれても意味が分からんかったら、食いっぱぐれるさいがね。ちなみに「チョウキ」は「お茶請け」のことです。

④は、そのまま「昼間」の発音が変わったものでしょう。明るい時間帯の総称としても使われます。

⑤はおもしろいなーと思います。朝と昼の真ん中が「サナカ」で、昼と夜の間は「昼間のサナカ」。2つの言葉がくっつくので、後につく「サナカ(小中)」の「サ」が連濁します。

⑥「ユサラビ」。夕方というか、夜の最初というか。「夕されば」とか「夕さらば」という言葉ではじまる和歌をいくつか見た記憶がありました。これらの和歌に出会うたびに、ぜったいこれは「ゆさらび」だはず!と思っていたのです。時間帯もぴったりだし。ちょっと調べたり考えたりしてみました。はまっちゃったよ。書き始めたらこの記事自体を仕上げられそうもないので、後日記事にします。

⑦「ユナイ」。夕方の「夕(ゆう)」と、夜の「よ」って、元は一緒の言葉なのではなかろうかと思う。「夜なへ」。夜なべではない。
「なへ」はなんだろう。辞書をぱっと見て、文法と意味が通りそうなのは「萎ふ(萎ゆ)」の連体形かな。動詞の連体形は名詞化するので。たとえば「考える」の連体形「考え」が名詞になるように。

⑧「ヨナカ」、夜中。夜の半ばだから「よなか」。共通語と変わらない。でも発音は限りなく「ユナカ」なんだけど。暗い時間の総称「ヨル」もそのまま共通語と一緒ですね。発音は何となく「ユル」ですが。


まとめ?

共通語だと、夜明け・朝・昼・夕方・夜・夜中の6区分。宮古は午前と午後に「サナカ」という言葉があるので二つ多くて8区分です。

えー。テキストからほとんど離れられておりません。なるべく自分の言葉にしようと思ったのになー。とりあえず、図にしたかった。図を書いてみました。今回は文章より図が書きたかったんです。いみーっちゃ(ちっちゃい)図だけどよ。

でも、「ユサラビ」については、はまりました。昨夜夜更かしし、会社で昼休みにもひたすら調べごとをし、まだ納得していない。まとめられるのか? でも気が済むまでやりそう。はまり症なのです、私。

でも、今日はここまで!


参考文献

  • 『宮古方言古諺音義』 p181-185
  • 学研 全訳古語辞典

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Posted by Motoca at 2009年02月13日 00:23
コメント(1) | | カテゴリ:名詞

この記事へのコメント

今、原稿書くのに調べものをしていたら、ブログに行き当たりました。天才!うれしくてコメント中!
Posted by 3892yuko at 2009年08月13日 18:39

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