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寝ぐせ編

カテゴリ : 新方言

寝ぐせを突っ込まれるのは日本全国津々浦々、いやきっと世界中どこにいても、逃れられないに違いない。見た目がおかしいものは、誰しも突っ込みたくなるだろう。
しかし、それにしても何故か、宮古方言は寝ぐせの状態を表現する言葉が異様に豊富である(と思う)。昔、母によく突っ込まれたよなぁ~。と、いうわけで、改めてそれらの言葉を整理してみました。

「パニーっとしている」

これは毛先の寝ぐせである。直しても直しても直らない厄介なやつ。無理矢理束ねてごまかすのが一番。「パニ」は「跳ねる」であり、普段「パニパニ」というと「元気な」という形容詞になる。

「カブーとしている」

こちらは生え際の寝ぐせだ。短髪だと髪の毛爆発状態になると思われるが、長髪だと一定のところで重力に負けて毛先が下に向かうので、なんだか頭が縦に長く、角が四角く見える。
頭皮のあたりを少しぬらしてしばらく帽子をかぶっていると直る。が、そんなことをすると蒸れて痒くなったりもする。

※「カブーカブ」=「ふさふさと」。これも擬態語。

「アフーとしている」

全体的にボリュームアップ。毛先はパニて、根元はカブーとし、中間も蛇行し、所々絡んだり折り目が付いたりと、手の施しようもない状態。櫛の通りも非常に悪い。極言するとアフロが崩れたようなイメージである。
これはもう朝シャン(←死語?)しないと、絶対直らない。

※「アフー」は(鍋などから)吹きこぼれるようすを表す擬態語。

「ガグーとしている」

こちらは寝ぐせではなく、もともと癖毛(天然パーマ)であること。寝ぐせの言い訳としては最適…だと思っていたが、うちの姉弟の中で唯一、「ガグー」な髪の毛を持つ弟曰く、

「天然パーマの寝ぐせはシャレにならんよ。」

ではどうなるのかというと、「くねった毛が直立する」とのこと。
しかし、それは髪の癖のせいではなく、彼の髪の毛質(かなり剛毛)のせいだと思う(←厳しい?)。

その他、髪の毛にまつわるあれこれ

寝ぐせがいやだといって、男の人が丸刈りにすることがある。そうしたらもれなくみなさんから「パギ(禿)」と言われる。
しばらく経って、少し髪が伸びてさわり心地がざらざらとなってくると、「ピギピギ(髭々)」と言われ、みんなに頭をいじられるようになる。その頃になると、髪の毛が生えていないポイントが所々に見られるようになる。傷跡だったり、生まれつきだったり。そういうのは「プティ」と呼ばれる。プティの面積がもう少し大きくなったものに、沖縄本島で同義の「カンパチ」を輸入語として使う。

余談。東京で生活するようになってから、環状八号線道路のことを略して「カンパチ」と呼ぶことを知り、友達と車の話をする(=道路の名前が出てくる)度に、私は無駄にニヤニヤしてしまう。

…なんだか小ネタ集のような記事になった。この記事のカテゴリ、形容詞にしたんだけど…。


2006年9月18日
カテゴリを形容詞から新方言へ変更。語幹は方言だが、用法が標準語的なのと、標準語や本島表現からの輸入語彙もあるため。



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してからにがさぁ、(2006-04-01 00:20)


Posted by Motoca at 2006年05月13日 20:00
コメント(2) | | カテゴリ:新方言

この記事へのコメント

面白いっす^^♪

色々と教えて下さい☆Motoca先生^^!
Posted by えちみ at 2006年05月13日 20:58
たはは…。こんなんで良ければ(^_^;)。

宮古に帰ると、湿度が高すぎるせいか、髪がカブーとなりやすい。
一方、冬の東京は、乾燥してぱさぱさになってアフーでした。

しかし、最近雨続きで、冬の間中乾き続けていた髪が適度な湿度を得たらしく、
跳ねもせずにしっとり・さらさらとしていて嬉しい~!と思いつつ、本日のネタを発想した次第であります(なんのこっちゃ)。
Posted by Motoca at 2006年05月13日 22:12

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