アイジャ
ある日の帰り道。うちの最寄り駅から道路に出た途端、遠くで雷の音がした。そういえば、雨予報が出ていたような。ああ、嫌な予感。
うちに向かう道沿いの駐車場でうずくまっていた子猫に「凄い雨が来るらしいから気を付けてな」と声をかけた、その瞬間。もう一度遠くで雷、それからぽつ、ぽつ、ぽつ…っざあああああああああああ。
「あいっじゃああああああああぁっ!」
幸い、自宅まで家まで20mの所だったので、全力でかけ込み、ずぶ濡れにはならずに済んだ。
さて、今回は「あいじゃ」について。
これは宮古(諸島)の人独特の概念かもしれない。
例えば、こんなシチュエーション。
- 急に雨が降ってきて濡れた!
- 庭の花に水やりしていたら水がはねて自分にかかった!
- ジュースをこぼして、被害が…。
うーん。もっとしっくりくる例えはないのか…。
とにかく、液体モノによる被害を被ったときにだけに使う。
そして、「急激な驚き」の感覚だ。
しばらく考えていたら、急に、あることに思い至った。
中国語圏の人が驚いたり困った時に「アイヤー(アイヨー)」という感嘆詞を使うことは有名。しかし、高校時代、沖縄本島に住んでいたとき、なぜかこの「アイヤー」を使う男子を時々見た。沖縄本島で、やはり驚きを表す感嘆詞として汎用的に使われる「アイ!」の語尾に、勢いでおまけが付いたか、強調した形なんだと思うんだけど。
そこでふと気がついた。
「ヤ」の音、呼気を強めて発音してみてください。
「ジャ」になりません?
スペイン語でも「ya」と綴るのは大抵「ジャ」と読まれる(ラテン系なので呼気の強い発音)。
また逆に、言語学でヤ行の発音を記すときには、子音は /j/で書く([ja][ju][jo]…)。
ということは…ま、まさか「アイジャ」の語源って…。
あ、あくまで思いつきの語源説です。でも「思いがけないことに対する驚き」を表す感嘆詞からから意味が狭まって…って考えることもできなくはないかなぁと。だって亜熱帯だからスコール(激しい通り雨)もあるし、昔の人は足場の悪い洞窟のような井戸(カー)に水を汲みに行っていたわけだから水を被る被害にはよく遭うわけだよね…。
すこし前にこのことに気づいてから、だれかに言いたくて言いたくてしょうがなかったの。宮古口(ミャークフツ)ミステリー。
しかし、宮古が歴史の中で漢民族の影響を受けたことってあったのかしら…。
いつか、検証できたらいいな。