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アクセントの区別があった形跡

現在宮古で使われている言葉は、方言・共通語共に「アクセントの区別」という概念がない。

例えば、共通語の東京アクセントにおいては、「アメ」と言う語を、
一音目にアクセントを置いてメ[áme]と発音すれば「雨」のことであり、
平坦に発音(厳密に言うとやや語尾上がり)でアメ[amé]と発音すると「飴」の意味になる、
という区別がある。
関西語圏においても同様に、同音の語がアクセントでが区別される(二音語に関しては関東とアクセントの位置が逆になるものが多いようだが)。

しかし宮古方言にはこういった、アクセントで意味を仕分ける機構がなく、全ての語に対してひととおりのアクセント型しか持っていない(「一型アクセント」と呼ばれる)。その影響を受けて、現在宮古で使われている「宮古訛りの標準語」でも、アクセントによる語彙の区別は行われていない。

…全国共通語のアクセントは習得していない。若年層に対し学校教育でアクセントの区別を学習していたかを尋ねたが、アクセントの区別のあることにも気づいていなかった。本来の旧方言のアクセントが一型アクセントであるので、共通語のアクセントを習得するのにも型知覚の意識が働かないためであろう。

『地域語の生態シリーズ 琉球編 琉球で生まれた共通語』 永田高志 著, おうふう, 1996年

まさに私もその通りで、大学で上京してから友人の指摘によって初めて知った(大学で放送部にいた関係もあり、アクセント関係はよく注意された)。未だによく覚えられませんが。

では「宮古方言はもともと一型アクセントだったのか」という検証をしてみようか、というのが今回の記事のテーマ。
理由は、もとは同音でありながら、違った音韻変化をしたひと組の語彙に気付いてしまったから。
もともとのアクセント体系が一型なら、音韻も同じように変化するはず。
そういう発想で、謎解き開始!(前置き長いっ!)

それは何かというと「神」と「紙」。
現在の宮古では、ともに標準語形は、単体では「○●」(語尾上がり)、助詞がつくと「○○▶」(平板発音)となる。

それぞれの方言は、
「神」が カ[kam]となり、
「紙」は カビ[kabïz]。

そう、違うのです。
以下は思いつきです。トンデモ論の可能性も加味して読んでくださいね。

もとの音はともに「カミ[kami]」。これは古語でもそうだし現代語でもそのままの音で残っている。
アクセントに関していえば、現代語(共通語及び全国の多くの方言)にはもちろんあるし、古語にも「平安時代末のアクセント資料」というものが存在するようなので、もしかしたら、数百年遡って琉球語と本土の言葉が分岐した時点でもアクセントの区別あったかも知れない。

それで、
ミ」と一音目にアクセントがあったとすれば、二音目の発音が軽くなる、もっと言えば曖昧でもよくなる。そうして語尾の母音が抜けて[kam]となったのが「神」、
平坦に「カミ」、または語尾上がりの「カ」というアクセントなら、二音目をきっちり言わなければならなくなるから、残る。そこに、m⇔bの子音交替(「寒い」を「サブイ」という地域があるように、マ行とバ行は入れ替わりやすい)が起きれば[kami]⇒[kabi]、加えて宮古方言のイ列音はzに近い音になるので[kabïz]…
という変化の過程が説明できるようになるのではないかと思った次第。

単なる思いつきで書いています。覆されるかも知れない。
一例だけだと弱いから、他の例も探してみようとおもいます。
発見したら、追記しますね。




Posted by Motoca at 2006年11月19日 23:15
コメント(11) | | カテゴリ:発音・アクセント

この記事へのコメント

おひさしぶりです。きゅうや〜久々に訪ねてみようと思いました。なんだかんだで浪人なんで忙しくしてましたが、古典!ついに全国平均上回る実力つきましたよ!ワイとガマ頑張っております。じゃあまたこようね〜
Posted by ボブソン at 2006年11月26日 22:37
おひさしぶりです。きゅうや〜久々に訪ねてみようと思いました。なんだかんだで浪人なんで忙しくしてましたが、古典!ついに全国平均上回る実力つきましたよ!ワイとガマ頑張っております。じゃあまたこようね〜
Posted by ボブソン at 2006年11月26日 22:37
ボブソン君お久しぶり~&んみゃーち。
おお、凄い、全国平均越え。がんばっているさいがー!
かつて古典が苦手科目だった私としては大尊敬だ。

もうちょっとだね!
やまとの冬の寒さんな負けるなよ、わぃどー!
Posted by Motoca at 2006年11月29日 22:41
 どまヴぃているんだけど ・・ はいりこんでいいものかどーか

アクセントの問題は 一型アクセント族の ぴさら人として

 関心あるテーマです。

いろいろな 仮説 があるようで 

  山口幸洋 著 「 方言・アクセントの 謎 を追って 」  悠飛社 刊


 学者の姿 がわかって これは おもしろかったデス。

 
Posted by ひさぼう at 2006年12月11日 05:13
ひさぼうさん>

ブログ見ていただいて、書き込みまで戴いて、ありがとうございます。
光栄です。

方言調べで、私はアクセントのことを今まで考えていなかったんだな・・・と
記事を書きながら思いました。
現在はこの二語にアクセントの区別がないことも、記事を書きながら初めて知ったことです(でも分類は2類(紙)と3類(神)なので、もしかしたら昔は違っていたのかも!と思っています。。

面白そうな本、紹介してくださってありがとうございます!
タイトルの「謎を追って」の部分に心惹かれました。まさに謎解きです・・・。
今度本屋さんで探してみることにします。
Posted by Motoca at 2006年12月12日 23:27
明けましておめでとうございます。
昨年「くまかま」で紹介してあり、時々はお邪魔してました。
「ひさぼうアザ」の書き込みについつい・・・・・・
今年も「みゃーく」に行ってました。
1日~5日までです。 下里 佐良浜 です。
佐和田の「くまかま仲間」のヤーで新年会もしたさー!
「ひさぼうアザ」にも電話してしまったさね!「カニさん」も来たさ~
平良に戻り「ぶんみゃー」も行ったさ。
jyangujyanguで「神童さん」にもバッタリ!
プカラスな、かぎ正月でした。
今年も「みゃーくふつ」の勉強にお邪魔しますね。
Posted by んみゃーちおじさん at 2007年01月07日 12:42
んみゃーちおじさん、さん>
あけましておめでとうございます。んみゃーち、ばがブログんかい。

私も年末年始、実家に帰っておりました。
下里…ということは、近くにいたかも!?
宮古は暖かかったですねぇ。日が眩しくて。

今年は…勉強進めて、より良い記事が書けるようにがんばります!
どうぞよろしくお願いします。
Posted by Motoca at 2007年01月09日 20:41
はじめまして じぐろと申します。
宮古島ブログで紹介させてもらいました
http://www.miyakojimablog.com/2006/12/46_1.html
今後ともよろしくお願いします。m(__)m
Posted by じぐろ at 2007年01月18日 17:27
じぐろ様>
拝見しました。どうもありがとうございます!!
素敵な解説もつけていただいて、ま~んてぃ、ぷからすむぬ。

こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
Posted by Motoca at 2007年01月18日 21:22
motokaさんのブログで宮古音声データベースを知ってアクセスしてみました
すずめの事を燕と漢字で書いてマミマーリャとありました。
間違っていますよね。訂正させた方が宜しいでしょうねー。
Posted by とけし at 2007年01月22日 07:55
とけし さん>
はじめまして。

実は私、いきものの方言名は詳しくないので・・・。
気になって調べてしまいました。ツバメのことをそういうんですね。
うーん、漢字が当たっていて、ひらがなが間違い。惜しーい。

マミマーリャ・・・豆廻り屋・・・な訳ないですね。すみません。つい。
Posted by Motoca at 2007年01月26日 23:29

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