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沖縄の旧盆行事

カテゴリ : 小ネタ/コラム

さて今年のお盆も最終日、「ウクイビー(送り日)」です。

沖縄の旧盆行事

旧暦で盆を行うのは、沖縄県全域で共通のようですが、島によって行事のやり方が多少違います。
例えば沖縄本島の各地ではエイサーが行われ、八重山ではアンガマが行われます。
宮古でも、宮国地区(旧上野村域)では綱引きや踊りが行われるようですが、残念ながら私の住んでいた平良の中心街には、そのような地域ぐるみの行事はありませんでした。
また、中元の贈答時期も宮古では盆の前に行いますが、沖縄本島(那覇辺り)では盆の期間中に行われるようです(香典のお返しとして渡しているようです)。

そして、盆にまつわる方言もやはり(?)、島によって違ってくるのです。
今回は、そんな方言たちを調べてみました。
宮古方言の枠を少し抜け出して、方言および風習の比較大会です。

【比較】主要三島の旧盆の名称

比較対象 沖縄本島 宮古 石垣
盆の呼び方 シチグヮチ ストゥガツ ソーロン※1
旧 7月7日 タナバタ タナバタ ソーロンナンカ
旧 7月13日 ウンケーンカイ
ウカイ
ンカイビ
ンカイ
ウンカイ
ンカイピヌツ
旧 7月14日 ナカヌヒーナカビ ナカヌピヌツ
旧 7月15日 ウークイ ウクイ
ウフィビィ
ウクルピー
ウクイビー
※ 地域によっては盆は四日間行われ、その場合は送り日が16日となる。

まず、盆の呼び方に2通りある。沖縄・宮古は季節の区切り目を示す「節月(せつげつ)」(2012/08/31訂正)を、それぞれの発音規則に則り「シチグヮチ」「ストゥガツ」という。一方、石垣では「ソーロン」。精霊または祖霊のことらしい。盆行事が祖霊をまつる行事であるところからそのように称されるようである。

盆の約一週間前、旧暦7月7日は各家の墓を掃除し先祖を迎える用意をする日だが、こちらも2通りに別れる。沖縄・宮古の「タナバタ(七夕)」と、石垣の「ソーロン ナンカ(精霊‹祭›七日)」である。
盆の入り日は各地とも「迎え」に関する語を使う。石垣方言の「–ピヌツ」は「日にち」の意だと思われる。2日目の呼び方については沖縄本島方言を除いてはは記述されている資料が手元になく、インターネットで検索できた僅かな結果に頼っている。宮古方言に関しては、それに自分の記憶していたものを足して記述している。すべて「中日(なかび)」、真ん中の日であるという表現である。送り日も然り。全て「送り」の表現となる。

各日の行事(宮古の場合)

タナバタ(七夕)
先祖を迎える準備。お墓の掃除をする(おもに草刈り。南の島の雑草は、コンクリートを割ってでも生えてきて、墓をびっしり覆い尽くすほどに伸び、増える)。そのあと、花を飾り、酒を供えて線香を焚く。
ンカイ(迎え)
沖縄の旧盆行事 お墓まで行き、酒を備えて線香を焚く。その線香の日を家の仏壇へ持ち帰ることで、先祖を迎えてきたことになる。
回転燈籠などで仏壇を飾り付け、そこに果物やお菓子、ご馳走が並べられる。仏壇のある家(ヤームトゥ=家元)に親戚一同集まり、揃って祖先に拝み、お祝い(酒宴)をする。
ナカビ(中日)
祖霊をを迎えたあとは、三食とも仏壇に供え、また同じ部屋で供えたものと同じ料理を食べる。盆の間は、線香の火は絶やさないようにする。また、親戚や知り合いでヤームトゥがあればそこを廻り、その家の仏壇を拝む。客人を迎える側は、お祝い料理を振る舞う。
ウクイ(送り)
沖縄の旧盆行事 夜、カビジン(=紙銭、沖縄本島でいう「ウチカビ」。あの世のお金のこと)を焼く(ウチカビ=打ち紙、といいます)。最後まで燃やしたあと、消火も兼ねて、備えてあった酒やお茶を入れる。その後、残ったごちそう、飾ってあった花などをを小皿に載せ、門の外へ運び束の線香をたいて先祖を送る。無縁仏の分のご馳走も一緒に備える。
西に向かって拝む。

日付が今日のうちに…と焦って書いたため、正式な文献よりも自分の記憶を優先しております。後日ゆっくり調べて書き足したいと思います。2006年8月9日大幅に追記・修正しました。2012年8月31日、一部訂正しました。

盆の各日の呼び名については、島の中でも地域差があると思います。「違うよ」、「こういう言い方もあるよ」というのがあれば、教えてください。

また、沖縄本島のエイサー、八重山のアンガマについても後日時間のあるときに追記したいと思います。


【参考文献】
『沖縄大百科事典』全三巻、沖縄タイムス社 編、1983年

【参考ホームページ】



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Posted by Motoca at 2006年08月08日 23:36
コメント(2) | | カテゴリ:小ネタ/コラム

この記事へのコメント

自分は毎年おばぁーの横にいてジンを燃やしていたよぉ〜♪してからにがおばぁが「くりゃーやまがやぁーぬ何々んかい」とか言って、その方向にもやっていたよぉ〜な記憶が・・・でよ、もとかねぇねぇー、墓参りをば方言でなんていったっけ?
Posted by ボブソン at 2006年08月11日 16:53
カビジン燃やしは、一種の火遊びみたいでたのしかった~。
家ぬ中、煙もくもくです。

ボブソンくん>
どこの家でも、オバァは盆の立役者だよね。おばぁに仕切ってもらわんとはじまらない。
墓参り、…なんだろうね、方言。こんど調べておくからー。
Posted by Motoca at 2006年08月13日 00:10

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